非独占業務
非独占業務とは、他人の依頼を受け報酬を得てする次の事務である(行政書士法1条の3)。
1. 官公署に提出する書類の提出手続について代理すること
2. 官公署に提出する書類にかかる許認可等に関して行われる、次の手続きについて、官公署に対してする行為を代理すること(1号業務)
(1) 聴聞手続き
(2) 弁明の機会の付与手続き
(3) その他の意見陳述手続き
3. 行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること(2号業務)
4. 行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること(3号業務)
1号業務は、行政手続法上の聴聞代理は官庁による処分の原案段階にとどまるため、紛争性がなく、合法的に行政書士の業務となると考えられてきたものが確認的に法定化されたものである。本号は非独占業務であるが、本号の内容は「官公署に提出する書類の代理等」であって、書類の作成をも包含するものではない。よって、本号にかかわらず書類の作成は行政書士法1条の2によって独占業務となる。
2号業務については、以下のような説の対立がある。
1. 「代理人として契約書類等を作成する」との趣旨であり、委任契約の締結により代理人として民間対民間の契約そのものを代理し、かつ契約書類等の作成の代理をも含む趣旨である。
2. 書類の「作成行為」を代理するに過ぎず、契約締結などの法律行為の代理はできない。
また、本号には、借金の繰り延べの書類や債務支払い期日の延長など契約に付随する行為も含まれるとする見解[5]と、含まれないとする見解[6]とがある。本号にかかわらず、本人名義で書類を作成することは差し支えない。「将来訴訟となる蓋然性が客観的に認められるような契約」については契約締結代理はできない。
3号業務のうち、相談業務とは、行政書士法1条の2で規定されている書類の作成に当たり、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するべきか、または文書の内容にどのような事項を記述するべきかなどの質疑応答・指導・意見表明・法令、法制度、判例等の先例説明・手続の説明などの行為をいう。